「つまみ細工」とは小さな布を『折り』『つまみ』複数を組み合わせて四季折々の花鳥風月を形作り、櫛やかんざしを華やかに彩る江戸時代から伝わる東京都指定の伝統工芸です。
天明5年(1785年)に京都の康照卿(やすてるきょう)が、妻の古着の切れ端を使ってくす玉のかんざしを作ったのがつまみ細工のはじまりだと言われています。
康照卿はつまみ細工の技法を考案され、下げくす玉を作って、後桃園(ごももぞの)天皇へ献上しました。
すると、そのくす玉を見た宮中の侍女達がつまみ細工を作るようになり、宮中の女官や大名の奥女中が趣味として楽しんでいた『和小物』の技法が世に広がりました。

明治時代(1868年~1912年)に入ると日本髪に飾る花簪作りが庶民の間で楽しまれる手芸の一つとなっていきました。
また、200年以上の歴史を持つつまみ細工ですが、師匠と弟子の間での技術伝承が行われていたため、正しい歴史や技術が書物として残っている物が残念ながらあまりありません。
華やかなつまみ細工は日本の伝統的な行事でもある七五三・成人式・結婚式などにはかかせないものとして今も人気があります。
近年では和文化を楽しむ人が増え、気軽に家庭や愛好家などの愛で趣味として「つまみ細工」を作る人も増えています。